お宝読本 タカラの山ガタ(匠に訊く)

四季折々の美味しい農産物、個性ある郷土料理、確かな技が生み出す伝統工芸品。
山形市には魅力あふれる地域資源「お宝」が沢山あります。
それぞれのお宝は、生産者や職人達の手により生み出され、そのひとつひとつには、様々な想いが込められています。
ものづくりに携わる方ならではの興味深いお話や、仕事に対して語られる熱い想い。
お宝づくりの最前線で活躍されるそれぞれの「匠」たちに、お話をお伺いしてきました。

蔵王サファイヤ(なす)

今回は、山形の夏野菜の代表的な作物の1つである「なす」のものづくりの現場に焦点を当ててみました。
市の北西部に位置し、農家戸数・耕地面積が市内で最も大きな割合を占めるなど、
本市の農業を支える主要な農産地である「大郷地区」。そんな大郷地区でハウスなす「蔵王サファイヤ」を栽培する
「丹野菊男(たんのきくお)さん」にお話をお伺いしました。


なすの栽培、1年の始まりはいつからでしょうか―

「1月から苗木の準備が始まり、1ヶ月間しっかり管理した後に定植を行います。
収穫は4月中ごろから10月いっぱいくらいで、霜が落ちるまで続きます。
ピークは6、7月で、この時期には1日の収穫が200キロ近くにもなります。」

ハウスなす「蔵王サファイヤ」とは―

「『蔵王サファイヤ』はここ大郷地区でしか栽培されていない特産品です。
真仙中長(しんせんちゅうなが)という品種で、実は小ぶり。皮はとても柔らかく、漬物にしたら最高ですよ。
現在は山形以外にも、秋田・宮城・富山・川崎(神奈川)等に出荷しています。



宝石みたいなインパクトのある名称ですね―

そうですね。この紫色に輝く皮には「ナスニン」という色素が含まれていて、活性酸素の働きを抑え、
血管をきれいにする効果があると言われているんですよ。
少し大げさですが、我々栽培農家も宝石を扱うように大切に育てているんです。

先程から何か飛んでいますが―

「ミツバチですね。ハウス内に数千匹はいますよ。彼らは授粉作業を手伝ってくれます。
以前は花一つ一つを全て手作業で授粉させていましたが、作業量がとても多くミスもあった。
なすの花には蜜が無く最初は心配でしたが、人の手で行っていたときと比べても同等か、
それ以上の着果率で上手くいっていますね。
授粉作業にかかっていた作業時間を、葉積みや整枝などの作業にあてることができ、
品質向上に努めることが出来る。大変助かっていますよ。」



生産にかける思い―


「現在『蔵王サファイヤ』を作っている部会員は11人で、歴史は30年を超えます。
全員がなすを専門に作っており、もう全員がなすの先生ですね。
その11人が、今なお品質を吟味し、高めあっているからこそ、最高のなすを生産出来ています。
生産量を増やしていくことは中々難しいですが、『蔵王サファイヤ』を求めてくださる皆様へ、
これからも変わらず最高の品質のものをお届けしていきたいと思っています。」



これからのことについて―

「出荷する際には、もうこれ以上のものは無い。という強い気持ちを持って送り出しています。
これからも、品質を落とすことなく、良いものへのこだわりを忘れずにやって行くことで、
皆様から信用される『蔵王サファイヤ』であり続けたいと思います。」


なんといっても『蔵王サファイヤ』は漬物が一番。         将来的には自分達の手で、商品作りなんかもしてみたいですね。


『蔵王サファイヤ』のお取り扱いについてはこちら

【JAやまがた中央営農センター】
場所  山形市天神町59番地
電話  023―684―2547
FAX 023―684―4951 


一覧にもどる