お宝読本 タカラの山ガタ(匠に訊く)

四季折々の美味しい農産物、個性ある郷土料理、確かな技が生み出す伝統工芸品。
山形市には魅力あふれる地域資源「お宝」が沢山あります。
それぞれのお宝は、生産者や職人達の手により生み出され、そのひとつひとつには、様々な想いが込められています。
ものづくりに携わる方ならではの興味深いお話や、仕事に対して語られる熱い想い。
お宝づくりの最前線で活躍されるそれぞれの「匠」たちに、お話をお伺いしてきました。

籐工芸

今回は、山形市の伝統工芸品の一つである「籐工芸」の製作現場にお邪魔いたしました。
明治時代から山形市で唯一籐工芸を作り続けている「ツルヤ商店」の
「会田源司(あいたげんじ)さん」にお話をお伺いしました。



籐工芸とはどのようなものですか―


「昔から伝わるツル細工の技術を応用し、籐(とう)という植物を用いて生活用品からデザイン性が高いインテリア製品など、様々な物を作っています。籐(とう)は軽くて、よくしなり、丈夫なのが特徴です。


「300キロまで耐えられますよー!」と会田社長。


製品作りにおいて大切にしていることはありますか―


「日本製品の良さを知ってもらうために、デザイン性を高めることと、手作りの温もりや天然素材の良さを感じてもらうことに力を入れています。また、小さな部品一つ一つにもこだわりをもっています。たとえば組み立てに使うビスも、錆びても折れにくいものを使うことにより耐久性が違ってきます。機械ではなく手作業で編み込むことで、耐久性があがり、大切に使えば30年以上ももつような丈夫な製品が出来上がります。」


手作業で編みこんでいます。

バーナーで熱して曲げる作業です。


より多くの人に製品を知ってもらうために、何かやっていることはありますか―


「近年だとデザイナーとコラボした『ami』シリーズのような、空間デザインを意識した、インテリア性が高く都会的なデザインのものや、若手作家のデザインを起用し、幅広い年代の人に使ってもらえるように『ライフスタイル』と『年齢層』を意識した製品を作りました。また、若い人にも手に取ってもらいやすいように、雑誌に取り上げてもらったり、若い人がよく行く店に売り込んだりしています。ブランド力を生かし、特徴のある製品を好む通販カタログで取り扱ってもらえることが多いです。


2012年のグッドデザイン賞を受賞したイスです。


これからのことについて―


「若い人に魅力のある商品を作れば、この仕事にも興味を持ってくれると考えています。そうやって後継者が生まれれば、製品を修理し続けることもでき、お客様に長く製品を使っていただけるので、自分たちの製品を買って良かったと思っていただけるのではないでしょうか。この仕事は1日1日の積み重ねが結果に結びつきます。日々の仕事としてどのように社会に貢献していけるのかということを胸に、見本市への出展やデザイナーとの新商品開発に取り組んでいきます。」


東北芸術工科大学出身の羽田さん。会田社長のもとで日々学んでいます。


匠の技により生み出された籐工芸製品は、長く使うことができ、使い込むほどに色や風合いが変化し、
私たちの生活になじんできます。
皆さんも日々の生活の中に、籐工芸製品を取り入れてみてはいかがですか?


ツルヤ商店
場所  山形市宮町5丁目2番27号
電話  023-632-4408
E-Mail tsuruya@tsuruya-net.com

ツルヤ商店ホームページ
http://www.tsuruya-net.com/


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